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貨物に大きな塊が含まれるか否かは、液状化の可否には大きな影響を及ぼさないが、貨物の粒径分布には大きな影響を及ぼす。そのため、粒径分布による液状化のクライテリアを決定する前に、最大粒径を設定しておく必要がある。
液状化物質判定試験用容器の大きさは貫入法の小型容器に等しいこと、また、小型容器を用いる貫入法では最大粒径が10mmであることを勘案して、石炭以外の物質については、最大粒径を9.5mmとした。即ち、試料内の9.5mm以上の粒子は、ふるい分けにより取り除く必要がある。
石炭の貫入法における最大粒径は25mmであることから、石炭の粒径分布を計測する際の最大粒径は19.0mmとした。
D10に基づく液状化のクライテリアは、最大粒径に関するこれらの条件下において調査したものである。
3.3 石炭以外の物質に対する粒径分布のクライテリア
3.3.1 試料調製及び粒径分布
調査のため、二種類のスラグ(ニッケルスラグとカッパースラグ)を調製した。液状化物質判定試験に先だって、以下の手順により様々な粒径分布を持つ試料を調製した。
(1)試料をふるい分けする;
(2)粒径加積曲線を描く;
(3)新しい粒径加積曲線を決定する;
(4)決定した粒径加積曲線が得られるように、ふるい分けされた粒子を調製する。
試料の粒径分布を図3及び4に示す。到着状態の試料は粗く、高い水分値を保持することはなかったため、新しい粒径加積曲線は細かな粒子を増すように決定された。
3.3.2 試験結果
これらの試料を用いた液状化物質判定試験の結果を表1に示す。飽和度70%こ対応するのは、D10=0.5mmであると言える。安全余裕を考慮して、石炭以外の物質に対するD10に基づくクライテリアは、1.0mmと結論した。
3.4 石炭の粒径分布に基づくクライテリア
貫入法を用いることにより、当該の試料の水分値が流動水分値より低いか否かを判定することができる。そこで、石炭に対するD10に基づくクライテリアは、各種の粒径分布の試料について、出来る限り水分値が多い状態で、貫入法を実施することにより調査した。
3.4.1 試料調製及び粒径分布
図5及び6に、3.3.1節で述べたのと同様の方法により調製された、二つの鉱山から得られた石炭試料の粒径分布を示す。
3.4.2 試験における水分値
研究の目的は、通常の排水状態におけるクライテリアを決定することであるため、試料の水分値は、以下の方法により、通常の排水状態において示し得る最も大きい値に調製された。
(1)浅い水密の箱の中に、乾いた試料を用意する;
(2)試料に水を入れて一様になるまで撹拌する;

 

 

 

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